岩手山の森づくり
岩手山における森づくりと自然保護活動/活動報告
(活動期間:2002.4~2012.3)
(この活動の成果は岩手山森づくりシリーズNO.1~NO.3で報告されています。
閲覧希望者は岩手県立図書館にてご覧ください。
NO.1 岩手山の森づくり
NO.2 菌根菌の世界
NO.3 窒素固定菌の世界)
私たちはこの25年間、奥山に広がるブナ原生林保護運動を展開してきた。
それが8年前から岩手山の森再生運動にも取り組み始めた。
そのニュースは各方面に反響を呼んでいる。
そして今、岩手県の自然の象徴であり、石川啄木によって「ふるさとの山」と歌われ、宮沢賢治によって「風さむき岩手の山」と歌われた岩手山において、「大部分を占めるもうひとつの森」の問題にとりくむことになった。
「ブナ原生林」から「もうひとつの森」への取り組みは、私たちにとって自然な流れでもある。
岩手山における森づくりと自然保護活動に関する協定書
(略称:岩手山森づくり協定書) [#f6c23189]
八幡平の葛根田ブナ原生林を守る会(以下「甲」という。)と盛岡森林管理署(以下「乙」という。)とは、岩手山及びその周辺の森づくりと自然保護活動に関して次のとおり協定を締結し、信義に従って誠実にこれを履行するものとする。
(目的)
第1 この協定は、甲が豊かな森林の恩恵を多くの人々とともに享受し、森林の多様な自然を後世に伝えていくため、また、乙が国民の協力を得ながら森づくりを進めていくため、甲と乙とが連携・協力することにより、岩手山及びその周辺における森づくりと自然環境の保全を円滑に推進することを目的とする。
(対象地域)
第2 本協定の対象とする森づくりと自然保護活動の地域は、別紙の区域内とする。
(活動の協調)
第3 甲は、自らが実施する森づくりと自然保護のための作業、調査、普及等の活動(以下「森づくりと自然保護活動」という。)の候補地を乙の管理する区域内で探索し、森づくりと自然保護活動の場として乙に提供を求めることができる。
2 乙は、甲が提供を求めた森づくりと自然保護活動の候補地について、管理経営上の支障がない限り、森づくりと自然保護活動の場として提供できるよう調整に努め、森づくりと自然保護活動に関して諸制度との調和を図るものとする。
3 甲は、上記の調整が行われたとき、実施の可否を含め森づくりと自然保護活動の内容を決定する。
4 乙は、その管理経営する土地において甲が行う森づくりと自然保護活動に対して、用具の貸出、技術や安全確保等の情報提供等に努めることにより森づくりにおける協調を図るものとする。
5 甲は、乙の管理経営する土地において森づくりと自然保護活動を行う際には、幅広い人々の理解・協力が得られるよう努めるとともに、その活動の対象となる区域に係る法令等による規定を遵守するものとする。
(協定の破棄)
第4 本協定は、甲又は乙の事情等により任意に破棄できるものとする。この場合、甲又は乙は事前に通知するものとする。ただし、本協定の失効後においても、本協定に基づき締結された本協定以外の協定、契約等については、それぞれの協定、契約等の定めるところにより、なお効力を有するものとする。
(協定の有効期間)
第5 この協定は、両者の代表が署名した日から発効し、3年間有効とする。
2 この協定は、有効期間満了に当たって甲又は乙からの申し出があり、これを甲及び乙が相互に認める場合は更新できるものとする。
(その他)
第6 本協定の実施につき疑義の生じた事項又は本協定に定めのない事項については、その都度協議して定めるものとする。
平成14年12月13日
(甲)盛岡市梨木町4-30
八幡平の葛根田ブナ原生林を守る会会長 署名 印
(乙)盛岡市北山二丁目二番四十号
盛岡森林管理署長 署名 印
(別紙)
「岩手山における森づくりと自然保護活動に関する協定」
の対象とする森づくりと自然保護活動の地域
[次の字の全域]
・岩手郡滝沢村 一本木山国有林、岩手山国有林、滝沢国有林
・岩手郡西根町 上坊山国有林
・岩手郡松尾村 国見国有林
[次の林班の全域]
・岩手郡松尾村 松川国有林1554林班から1558林班まで
調印式声明
2002年12月13日(平成14年12月13日) 協定調印式
「岩手山における森づくりと自然保護活動に関する協定」に関する声明
(略称・岩手山森づくり協定)
岩手山森づくり協定調印式声明 八幡平の葛根田ブナ原生林を守る会
本日、八幡平の葛根田ブナ原生林を守る会は、盛岡森林管理署との間で、「岩手山における森づくりと自然保護活動に関する協定」(略称・岩手山森づくり協定)を締結しました。
本協定は、これまで当会と盛岡森林管理署との間で進めてきた森林調査や意見交換の過程で生まれたひとつの到達点であります。
「山は、森に支えられている」ということをあらためて思い、その「森に支えられている山々」を大切にしよう、「山の裾野に広がる森」を未来に伝えようと、日本と世界の人々に呼びかけるものです。
(参考) 「岩手山森づくり協定」の目的と特徴と性格
- 第一の目的は、岩手山の多様な森と自然を未来に伝えることです。岩手山(2038メートル)には、亜高山帯針葉樹林やブナ林などの原生的自然林だけでなく、里山や木材生産林などの身近な自然も広がっています。そこには人々の暮らしがあります。これらの人と自然の関係を含む多様な自然を未来に伝えることです。目的条項参照。
- 第二の目的は、市民活動の多様な展開を可能にすることにあります。活動は、多くの市民に呼びかけて行われます。「森づくりと自然保護活動」とは、森づくりだけでなく自然保護活動も含み、その内容も「作業、調査、普及等の活動」という広い概念として捉えられています。名称、協調条項1項参照。
- 第三の目的は、行政などの森林管理者や民間の所有者と市民団体との連携協力の新しい試みを全国的視野から探求することにあります。岩手山の森が、多くの人々によって支えられるシステムづくりでもあります(森を支える社会づくりの探求)。本協定は、岩手山国有林における岩手山方式ともいうべきオリジナルなひとつの試みでもあります。主体条項参照。
- 第四の目的は、普及広報活動です。岩手山という高名な高峰の森から、森という生命セクターを代弁して、人への呼びかけ・働きかけ・メッセージを伝える、届ける、広める、発信することです。目的条項、協調条項5項参照。
協定の特徴は、
- ①双方の創意工夫による共同作成であること、
- ②岩手山の多様な森と自然を未来に伝えるという市民組織側の目的が明記されていること、
- ③対象面積が広大であること。すなわち、岩手山とその周辺の約一万ヘクタールの内、その4分の3にあたる約7500ヘクタール、標高180メートルから2038メートルに広がる地域。
- ④市民活動の自立性、主体性の尊重が強調されていること(行政からの委託事業などの行政補完活動とは区別された自立的な市民活動の尊重)。目的条項、協調条項1項3項、破棄条項参照、
- ⑤多様な市民活動が可能となること、
- ⑥当事者が信義に従い必要な調整を行うという6点にあります。
協定の性格は、具体的個別的テーマに関する協定というより、森林行政と市民組織との連携協力に関する一般的包括的な協定であります。
問い合わせ先 八幡平の葛根田ブナ原生林を守る会
〒020-0064岩手県盛岡市梨木町4-30 tel,fax 019-651-1760
hachimantai@bunarin.com
http://kakkondagawa.bunarin.com/
岩手山森づくり協定調印式声明-盛岡森林管理署
平成14年12月13日
「岩手山における森づくりと自然保護活動に関する協定」について
盛岡森林管理署
本日、盛岡森林管理署は、八幡平の葛根田ブナ原生林を守る会との間で、「岩手山における森づくりと自然保護活動に関する協定」を締結しました。
本協定は、これまで当会との間で進めてきた意見交換の過程で生まれたひとつの到達点であると認識しており、更に、国民各層に支えられた多様な森づくりに向けてのひとつの出発点になることを願っています。
(参考)
日本の森林は、本州と四国を合わせた面積に相当する大きな広がりを持っていますが、これまで森林を支えてきた林業や山村地域は大変厳しい状況に置かれており、また、森林と人との関係も希薄化しているように思われます。
森林には、木材生産等の経済的機能はもとより国土の保全、水源のかん養、野生生物の生息環境の形成等の公益機能があり、更に、今日では地球温暖化の防止にも効果があることが知られています。これらの多面的な働きを持つ森林を未来に継承できるものとして、どのように支えていくかが大きな課題になっています。
近年は森林や環境に関する教育が盛んになり、森林の様々な役割が認識されつつありますが、森林の中に入って樹木、土、水等を間近に見たり、直接触れたりすることで森林を実体あるものとして捉えていくことが特に重要ではないかと思われます。
そのような中で、八幡平の葛根田ブナ原生林を守る会が、広く市民の参画も求めながら多様な森づくりと自然保護活動を進めようとしていることから、当会の活動が森林の働きを多くの国民に理解してもらう一助となることを期待しています。
盛岡森林管理署としても、フィールドの提供や諸制度との調和を図る等により、森づくりの協調を図っていけるよう努力していく考えです。
より多くの方々が森林と人との関わりに思いを馳せてもらえれば幸いです。更に、その中からひとりでも多くの方々が森づくりに参画してくれればと願っています。
問合せ先:盛岡森林管理署長 福嶋雅喜 TEL:019-663-8001
協定書要点
岩手山の森協定書の要点 2002.12.13作成
記者クラブレクチャー
岩手県政記者クラブにて 11.25、
盛岡森林管理署にて 12.13
説明者
白藤 力(葛根田ブナ原生林を守る会事務局長)
福嶋雅喜(盛岡森林管理署長)
報道機関
岩手日報社、朝日新聞社盛岡支局、読売新聞社盛岡支局、
毎日新聞社盛岡支局、河北新報社盛岡支社、
産経新聞盛岡支社、盛岡タイムス、共同通信社盛岡支局、
NHK盛岡放送局、IBC岩手放送、テレビ岩手、
岩手めんこいテレビ、岩手朝日テレビ
今後の予定
- 岩手山シンポ開催 2002.12.7
- 協定締結日 2002.12.13
- 締結当事者
八幡平の葛根田ブナ原生林を守る会
林野庁盛岡森林管理署 - 目的 岩手山の多様な森と自然を未来に伝えよう
- 活動対象地域
岩手山とその周辺に広がる森と自然(岩手山国有林など) - 面積
約7500ヘクタール
岩手山の森約1万ヘクタールの内、その4分3。
盛岡森林管理署管内。雫石町部分約4分の1は除かれている。 - 標高差 標高180メートルから2038メートルに広がる森と自然
- 有効期間 3年の有効期間は、更新が原則
- 協定の性格
協定は盛岡森林管理署と市民組織の連携協力関係における一般的包括的協定です。具体的進め方は場所とテーマを設定し、協議をしながら一歩一歩進めて行くことになります。
- 協定の特徴 市民活動の主体性自立性の尊重が強調されている
問い合わせ先
八幡平の葛根田ブナ原生林を守る会 事務局長 白藤力
〒020-0064岩手県盛岡市梨木町4-30(方) tel,fax 019-651-1760
hachimantai@bunarin.com
http://kakkondagawa.bunarin.com/
林野庁東北森林管理局青森分局余盛岡森林管理署長 福嶋雅喜
〒020-0061 岩手県盛岡市北山2-2-40 019(663)8001
岩手山からの呼びかけ(八幡平の葛根田ブナ原生林を守る会)
岩手山の森で『森づくりと自然保護に関する多様な市民活動』を展開しましょう
葛根田原生林からの通信39号より抜粋(2002.10.1)
☆私たちはこれまでの17年間、葛根田川源流部などにおいて、ブナ林という原生的自然の保護運動を行ってきました。その結果、岩手山西方の原生林地帯において、千五百メートル前後の山が17、大きな川や沢が14、面積にして一万ヘクタール以上のブナ林が伐採や開発から免れました。秋田側の玉川源流部を含めれば実に一万六千ヘクタールの不伐の森が八幡平山系に実現したことになります。
☆その一方で、里山とか木材生産林というもうひとつの森があることを主張してきました。そこにもブナ林とは同じではないがやはり自然があります。人々の暮らしや生産活動があります。2002年度後期から里山とか木材生産林というフィールドにおいても、多様な市民活動を展開する新しい方針を採用することにしました。
☆この分野は複雑な社会の鏡のような存在です。地球規模の森の再生運動の一環でもあります。その再生運動とふれあい運動のささやかな一翼を担うために、岩手山という高名な高峰の森で、森づくりと自然保護活動に関する新たな市民活動を作り出して行きましょう。
活動地域は岩手山の東西南北ぐるりとさらにその周辺の山々です(協定対象地域は、岩手山の森約1万haの内、その4分の3にあたる7500ha,標高で言えば180mから2038mに広がる森、1町2村に及ぶ広大な地域です)。
☆岩手山の多くは国有林です。その広大な裾野にはブナ林や木材生産林や雑木林などの多様な自然があります。一定の協定締結の構想も進められています。幸いにも林野庁盛岡森林管理署の協力の中で協定の作成検討が進められています。
☆スタッフや支援者の募集、企画や計画はこれからです。多様な文化活動や一定の事業的精神も必要となるかもしれません。会内外に広い呼びかけも必要です。
☆岩手山で森の市民活動が展開されるというのは歴史上初めてのことで、趣旨は画期的ですが、息の長い活動です。控えめな一歩一歩の楽しい活動を作りましょう。山麓での自然観察会や小鳥の森づくりなどが当面の活動になりそうです。本年度は調査活動や資料作りが主となります。本格的展開は来年雪が解けてからでしょうか。とりあえず誰でも参加できる「岩手山の森を考える企画委員会」を守る会に設置し、他の諸団体にも参加して頂いて、当面の計画を検討します。
☆多くの方々が「岩手山シンポ」と「協定調印式」にお集まりください。県内外の皆様の広いご支援をお願いいたします。(筆・白藤力)
岩手山の森と自然を考えるシンポジウム(略称:岩手山の森シンポ)
- 趣旨 岩手山の森と自然を未来に伝えよう
- 主催 岩手山の森と自然を考える企画委員会
(八幡平のかっこんだ葛根田ブナ原生林を守る会内) - 協力
いわて生協、NPO法人森林ボランティア山仕事くらぶ
盛岡山友会、竜川水系のブナ林を守る会 - 後援
岩手日報社、朝日新聞社盛岡支局、読売新聞社盛岡支局、毎日新聞社盛岡支局、河北新報社盛岡支社、産経新聞盛岡支社、盛岡タイムス、共同通信社盛岡支局、
NHK盛岡放送局、IBC岩手放送、テレビ岩手、岩手めんこいテレビ、岩手朝日テレビ - 日時 2002・12・7(土) 14:00~16:30
盛岡市上田公民館第一集会室(019-654-2333) - 参加対象 広く一般市民
- 次第 司会 佐藤喜範(企画委員) メッセージ紹介
- 主催者趣旨報告 上野靖雄(企画委員)
- 岩手山の森と自然を考える企画委員会
- 講演 竹原明秀 岩手大学助教授(環境生物学)
「岩手山の森と自然」 - 特別報告1 福嶋雅喜 盛岡森林管理署長
「岩手山森づくり協定」と森の話 - 特別報告2 永野正造 岩手大学元助教授
(造林学、葛根田ブナ原生林を守る会会長)
「岩手山の森づくりと小鳥の森」
岩手山の森と自然を考えるミニシンポ(市民活動の報告)
- 司会 白藤力(八幡平の葛根田ブナ原生林を守る会事務局長)
- 報告者
岩手自然ガイド協会設立準備会(代表 櫻井則彰)
スライド いわて生協環境委員会(委員長 菊池チエミ)
「ブナ原生林散策」と「フォレストクラブ」
盛岡山友会(事務局長 中村美栄子、川村雅子)
森林ボランテイア山仕事くらぶ(会員 斎藤文男)
竜川水系のブナ林を守る会 (代表 上野靖雄)
葛根田ブナ原生林を守る会(事務局長 白藤力) - まとめ 白藤力(企画委員会事務局)
- 閉会 遠藤喜美栄(葛根田ブナ原生林を守る会運営委員)
- 受付担当 佐々木高(守る会運営委員)
- 展示担当 佐々木孝五郎(守る会運営委員)
スライドなど - 機器担当 鈴木勝世(守る会運営委員)
お知らせ
★ 「岩手山における森づくりと自然保護活動に関する協定」(略称・岩手山森づくり協定)の協定調印式を以下の日程で行います。
2002.12.13(金)15:00~16:30盛岡森林管理署(盛岡市三割 019-663-8001)
★ 「岩手山の森保護基金」を設置しますので、県内外の皆様の寄付のご支援をお願いします。
郵便振替番号02320-1-24077 葛根田ブナ原生林を守る会(岩手山と記載のこと)
★ 問い合わせ先
岩手山の森と自然を考える企画委員会(八幡平の葛根田ブナ原生林を守る会内)
〒020-0064岩手県盛岡市梨木町4-30白藤力(方) tel,fax 019-651-1760
Eメール hachimantai@bunarin.com
ホームページ ブナ林から発信 hachimantai@bunarin.com
岩手山の森シンポへのメッセージ(一部電話取材;白藤)
-岩手山の森と自然を考えるシンポジウム- 2002・12・7盛岡市上田公民館
石井政之 知床自然保護協会会長(知床の森・羅臼岳)(北海道斜里町)
白藤さんこんにちは。1986年、知床の森を守れという世論が全国に広がりました。1989年の「原生林知床全国シンポ」のときはお世話になりました。その折り、羅臼岳にいっしょに登ったのがなつかしいです。
そして翌年1990年の「原生林盛岡全国シンポ」はすばらしい大会でした。そのときに仰ぎ見た美しい岩手山や葛根田連峰を思い出します。
国有林も森を担えなくなっています。現状では地方自治体に移管したとしても、もっと担えなくなるでしょう。市民みんなで担おうという岩手山からの呼びかけは多くの人々の共感を呼ぶと思います。羅臼岳の森から。
寺島一男 大雪と石狩の自然を守る会代表(大雪山)(北海道旭川市)
環境の世紀を迎え、森林と人間活動に関する新しい関係が世界的に注目されています。世界屈指の森林資源国日本においても、森林の劣化や森林機能の低下が指摘され、新たな森林環境問題が浮上しています。森林の荒廃や内部崩壊を食い止め新たな森づくりを目指すには、山村の人たちや市民が新たな目を持って森と深く関わることが必要です。
このほど岩手山の多様な自然を未来に残すため、市民参画による多様で生命あふれる森づくりが始まることは、画期的な試みとして大いに注目すべきです。岩手山の森からの新たな発信に期待すると共に、その第一歩である森と自然を考えるシンポジウムの成功を心からお祈りいたします。(大雪の森から)
奥村清明 秋田県自然保護団体連合代表理事(白神山地)(八幡平)(秋田市)
私たちはこれまで白神山地のブナ原生林を守る運動に取り組んできました。葛根田ブナ原生林を守る会の活動には、いつも敬服しています。貴会が取り組んだ、駒ガ岳の岩手県側斜面のブナ林地帯における「国見スキーリゾート計画中止」や「八幡平南北縦断観光道路(奥産道)建設中途断念」のニュースは、ホットなニュースでした。
7500ヘクタールという広大な岩手山国有林。それを市民活動に開放するというニュースに若干驚いています。「岩手山森づくり協定」は、市民活動の主体性を尊重した協定だと聞いています。これは画期的なことだと思います。岩手山を含む八幡平の森を協力して未来に伝えましょう。
海妻矩彦 岩手県立博物館館長・前岩手大学学長(岩手県盛岡市)
「自然と人間の関係を含む多様な森を未来に伝えよう」という協定の趣旨に賛成します。森林の危機は地球規模の問題でもあります。岩手山からのメッセージを広く伝えてください。皆様の今後の活動に期待します。
小野寺正英 胆沢川水資源のブナ原生林を守る会事務局長(焼石岳)(岩手県)
胆沢川の上流を流れるおいでがわ小生川源流部は、岩手県では葛根田川源流部に次いで大面積のブナ原生林地帯です。
森は生命の源だと考えています。それなのにあまりにも森を粗末にしてきました。その反省の上にたって行政を含むみんなで考え直すべき時期だと思います。
北田紘一 日本山岳協会常務理事・事務局長(東京)
葛根田川源流部の運動は、ブナ原生林を守る運動から、木材生産林や里山を含む「多様な森の問題へ」と又一歩活動を拡大した。同時に大変な課題を担うことになったとも思う。
「岩手山の森」という捉え方はこれまであまりなかったと思う。どこか新しい響きがする。なぜなのかもう少し考えて見たい。岩手山の森の調査活動にも期待しているし、できるだけ協力したい。
東京林業研究会(事務局長・小内一)(東京)
岩手山における森づくりと自然保護活動に関する協定」の趣旨に賛同します。これからの活動は、国有林を真に国民の森としていく具体的な経験になると思います。今後の活動に期待するとともに、その貴重な経験を岩手から伝えてください。
後藤功一 日本勤労者山岳連盟理事・自然保護委員会副委員長(東京)
「山は森に支えられている。森に支えられている山々を未来に伝えたい」という話を聞いた。啄木や賢治の山として知られる岩手山からの発信である。この呼びかけは、すばらしいと思う。山岳人も「山は広大な裾野の森に支えられている」という考えをこの機会に再確認すべきだと思う。登山者にも広く伝えていきたい。
大滝秋雄 みおもてがわ三面川の原生林を守る会会長(朝日岳)(新潟県村上市)
朝日連峰のみおもてがわ三面川源流部に広がるブナ原生林は、全国各地と同様伐採が進んでいましたが、守る会を作り、村上市民や全国の人々に呼びかけた結果、大面積のブナ林が保護されることになりました。葛根田川源流部の運動は、いろいろ参考になることが多いです。岩手山の森の協定に期待します。朝日岳の森から。
野口俊邦 信州大学農学部長(林業経済)(長野市)
協定草案はまだ見ていませんが、岩手県の新聞を見ました。岩手山の森が多くの人々によって担われるという発想は、すばらしいことだと思います。
今後の取組みを期待しています。
★ 問い合わせ先
岩手山の森と自然を考える企画委員会(八幡平の葛根田ブナ原生林を守る会内)
〒020-0064岩手県盛岡市梨木町4-30白藤力(方) tel,fax 019-651-1760
hachimantai@bunarin.com
http://kakkondagawa.bunarin.com/
「岩手山森づくり協定」の調印式
★ 協定名称 「岩手山における森づくりと自然保護活動に関する協定」
(略称・岩手山森づくり協定)
★ 日時場所 2002.12.13(金)15.00~16.30
盛岡森林管理署(岩手県盛岡市三割 019-663-8001)
★ 参加対象 定員15名
★ 協定締結当事者
八幡平の葛根田ブナ原生林を守る会と林野庁盛岡森林管理署
★ 次第
司会 上野靖雄(守る会運営委員)
調印式 永野正造(葛根田ブナ原生林を守る会長)
福嶋雅喜 (盛岡森林管理署長)
声明発表 葛根田ブナ原生林を守る会
佐藤喜範(守る会運営委員)
盛岡森林管理署
福嶋雅喜盛岡森林管理署長
報道レクチャー
白藤 力(守る会事務局長)
福嶋雅喜(盛岡森林管理署長)
報道機関
岩手日報、河北新報、岩手日日、共同通信
NHK盛岡放送、岩手朝日テレビ
会場設営 佐々木孝五郎 (守る会運営委員)
備品運搬 佐々木高 (守る会運営委員)