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生物界はどのように分類されるべきか

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生物界はどのように分類されるべきか

1)長いあいだ、生物界は植物界と動物界に2大別されてきた(2界説)。遠くアリストテレスの時代から、ヘーゲルなど18世紀の哲学者や学名の命名法を発案したリンネに至るまで、こうした2界説を受け入れてきた。
2)ところが2界説には、ひとつの疑問が付きまとっていた。それは菌類(キノコの仲間)の位置付けをめぐってである。手も足もないキノコを動物と言うわけにはいかないのであるが、葉がないキノコが植物だということにも一抹の不安があった。18世紀には、キノコは葉のない植物である(リンネ)とか、動物と植物の中間物である(ヘーゲルなど)などと説明され、教科書でもつい最近まで菌類は植物の一群として扱われてきた。
3)しかし生物学と周辺科学の発達につれて、すべての生物を植物と動物に分けることに無理が生じてきた。そしてこの2界説に訣別をもたらしたひとつの誘引は、不遇の日々を送っていた菌類の追跡者たちだった。菌類は植物の単なる変形物ではなく、ひとつの独立界だという主張である。
約10億年前に原生生物から植物と動物と菌類が分化し、そのときから菌類は一大生物群を形成し、記録されているものだけでも10万種に及び、その推定種数は50万とも150万とも言われている。
4)系統樹を作成したヘッケルは、植物・動物・原生動物の3界に分類していたが、20世紀も後半になると5界説の提唱者ホイタッカーによって菌類の独立界性が明らかにされた。ホイタッカーは、植物を有機物の生産者・動物を消費者・菌類を分解者(還元者)ととらえ、分解者としての菌類の物質循環における役割を解明した。5界説とは、生物界は原核生物界(バクテリア)・原生生物界・植物界・菌類界・動物界の5界に大別する分類体系である。
その後、先駆的な菌学者や林学者によって、森林と菌類の相互の関係は、森づくりの重要なテーマであることが主張されるようになった。そして菌類の界としての独立性は、近年脚光をあびている分子系統学によっても支持されているという。
菌学という個別分野の専門科学が、生態系という総合的な科学思想と結合したとき、はじめて生物の大枠についての新しい認識の転換をもたらしたというこの一連の歴史的経過も注目すべきことである。
市民による生態系を考えた森づくりを企画する上で、界の認識と多様性の認識は不可欠のテーマなのである。(多様性については次回)(筆・白藤力 2006.4.13)

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